知財のレシピ

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J-PlatPat講習会のテキスト(特実)を読む (スライド5)特許分類での検索

スライド5枚目の「特許分類での検索」の続きです。

 

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「特許分類」とは、ざっくり言うと、特許公報に付与される技術分野ごとの分類です。日本では、主にFI,Fターム,IPCが使われます。

特許分類の知識」(特許庁、発明推進協会)では、特許分類について詳しく説明されています。特許分類の雰囲気がある程度分かっている人には、さらに理解が深まると思いますが、初めて特許分類を知ろうとする人は、拒否反応でる前にサーっと目を通すぐらいが良いかと思います。

 

特許出願の際は、願書に国際特許分類(IPC)の記載が求められますが、大雑把でいいです。結局、特許庁側で適切な分類が付与されますし、全く間違っていたとしても、訂正するように指令が来たりはしません。

 

特許分類は、特許庁側で、審査官やサーチャーさん等が内容を理解した上で手作業で付与しているので、比較的精度が高いです。テキスト検索ができるようになる以前の時代では特許分類で検索が普通だったことからもわかるように、昔の公報にも当然特許分類が付与されているため、昔の公報も特許分類を使えば効率的に検索できます。

なので、スライドのデメリットにもあるように、そもそも検索に使う特許分類が間違っていたら、大きな検索漏れにつながりますし、特許分類への正確な理解が必要です。

 

審査官は、Fターム、FIなどを使って国内特許公報を検索することが基本なので、出願人側でも、審査官と同等の検索技術が身につけられれば、特許出願や中間対応が効率的に行えますよね。

が、現在、人工知能などによる特許文献検索の自動化が試みられています。私は、出願人側で行う調査は、この人工知能による調査レベルで十分ではないかと考えています。審査では出願時に非公開だった文献が引用される場合もあるし、調査を十分に行っても拒絶される可能性はゼロにはならないからです。もっと手軽に調査が行えるようになればいいですね。

 

年が明けてしまいました

前回の投稿から少し時間が経ってしまいました。

INPITのスライドの続きを、と思っていたのに、インフルエンザにかかったり、年度末の出願ラッシュに巻き込まれたり、思うようスケジュールが進まず(涙)

 

今月は、気になってたお客様の案件が特許になったので、すごく嬉しい。

お客様もかなり喜んでいて、一安心。もともと、出願依頼を受けたときは、これから事業をやります!みたいな状態で、資金集めに奔走していて、出資者への説明のために、この日までに出願してほしい、と言われ急いで出願。その後、サービスリリースして順調に業績が伸びているようで、時々、ニュースで見かけたりと、注目されているようでした。

なので、特許になったのが、一層嬉しいです。特許査定は何回も出したし、もらってもいるけど、実際、こうやってリアルに成長が感じられるサービスに関する出願に関わったのは初めてかも。

こういう案件があると、弁理士冥利に尽きますね。

 

本年もよろしくお願いいたします。 

JPOで女性発明者を増やすなら

前回投稿したインドのように、女性発明者が含まれる出願の審査を早めると言うのはJPOではあまり旨味がないです。と言うのも、インドは今審査で5−7年かかっているようなので、審査期間を1年半にすると言うのはすごくインセンティブです。一方、日本は今、普通に審査請求しても1年弱でファーストアクションがきます。

 

審査を優遇するってのはありえない(笑)ので、JPO的には痛みが伴いますが、出願人が大企業であっても、発明者に女性が含まれる割合によって、特許料納付額を減額すると言うのはどうでしょうか?!

良い特許はそのうち収益上げるだろうから、10年後ぐらいに特許料高くして、とにかく、最初の特許になるところのハードルを超下げる。

 

予算組んで、期間限定でやってみたらどう?

女性の研究者は少ない(特に工学系)から、すぐには影響出ないと思うけど、企業側にも優秀な女性を確保するインセンティブになると思うんですよね。特に、技術力で勝負してるようなところは。

女性発明者が増える→理系の女性ロールモデル増える→女子の理系進学率上がる→男子の理系進学率もつられて上がる

 

風が吹けば桶屋が儲かる理論ですが。変にリケジョアピールするより、男性経営層にも影響がある施策を展開する方がよっぽどいいかと。

 

女性を発明者に加えることで、男性にもメリットあるんだし、そんなに悪くない。悪くなるのは、特許庁だけでw

 

女性発明者が含まれる出願は審査を早くする?!【インド】

インドで女性発明者が含まれる出願は審査を早くするというような案があるそうです。

 

economictimes.indiatimes.com

 

詳しい背景とか分からないけど、日本だったら差別とか言われるのかしら。

女性はコミュニケーション力高いからそんなことしなくて良いとか(笑)

 

でも、これぐらいやらないと、女性発明者や起業家は増えないと思う。

特許系の弁理士って理系出身の人が多いから、本当に男性ばっかりだし、スタートアップ企業とか、なんだか世の中で注目され記事になるような人たちも、男性多いですよね。

日経新聞読んでると、顔写真のおじさま率が高すぎて辟易とする。

 

家事も育児も介護もやって、仕事もやってって、完全に無理ゲーだから。

男性は、子供を公園に連れて行ったり、学校行事に参加しようにも、お母さんばかりで居づらいから行きたくない、ということを言う人がいるらしいですが、それって女性が仕事をするときにも同じことが言えるわけで。職場が男性ばかりって、女性にとっては居心地は良くはないですよ。

 

日本の特許庁長官も女性になったことだし、これぐらいのインパクト、(男性の猛反発で実現できないと思うけど、)素案として提案するだけでもいいんじゃないの、と思う。

 

 

J-PlatPat講習会のテキスト(特実)を読む (スライド4、5)特許・実用新案検索

JPP講習会テキストを細かく読んでます。  

http://www.inpit.go.jp/content/100863247.pdf

 

前回の「公報の探し方」の続きで、「特許・実用新案検索」。

 

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 ②出願人名等で調査

特定の企業の出願状況が調べたい場合は、「出願人名」をプルダウンで選んで、キーワードを指定して検索してください。公知日の範囲も指定できます。「出願人名」が変わってないか(会社の合併など)などは気をつけないとダメなところです。(商用データベースとかは、名寄せが簡単にできる機能があったりします。)

 

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③技術内容で調査

やっと来ました、これ。この検索方法でつまずいてる人が多いはずです。

 

・技術用語で検索(テキスト検索)

・特許分類で検索

 

この2つが書いてありますが、基本的には併用して検索します。

 

スライド5に、この2つの検索方法のメリット、デメリットが説明されています。

 

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キーワード検索は、まさにGoogleで検索するみたいな感じなので、お手軽なところがメリットです。

デメリットは、例えば、「ペン」についての技術を調べたい場合に、検索項目を「全文」指定して「ペン」を入れてしまうと、「ペンダント」、「ペンチ」など、「ペン」を含む単語を全てを検索結果に入れてしまいます。ここで、検索したいワード以外のものが混ざってしまうことを「ノイズが発生」と言ってます。この「ノイズ」をいかに少なくするか、ノイズを省いて文献を抽出するか、が調査能力にかかってきます。

 

類義語等についても注意が必要で、明細書は、基本的に、弁理士各自のオリジナル。同じ対象物でもいろんな言い方、書かれ方がされています。自分が普段使っている言葉とは違う言葉が使われていたりするので、単に一つの言葉だけで検索して、文献が無かった、と安心するのはまずいです。逆に不安になるぐらいがいいかと。

あと、テキスト検索は、昔の公報は検索できません。スライドには、1971年以降の公開特許公報から、となっていますが、ITとか特定の技術分野は、それで十分じゃないかと思います。

 

ちなみに、現時点(11/29/2018)の表示可能な文献はこうなっています。

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公告特許公報(B) 「T11-1」も表示されるんですねー。ゼロ入力は省略可と、前回知ったので、慣れるために、お試しでいろいろやってみてもいいかも、です。

 

キーワード検索は、キーワードの選び方や、近傍検索など、コツを掴めば、ある程度はすぐに効果が上がるテクニックがあるので、そんなに身構えなくてもいいかと思います。

 

次回は、「特許分類での検索」。

 

 

J-PlatPat講習会のテキスト(特実)を読む (スライド4)番号照会のトリビア

JPPテキストの続きです。スライド4は「公報の探し方」です。

 

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・そもそも「公報」って何?

デジタル大辞泉によると、「公報」とは、

 
1 官庁が一般国民に発表する公式の報告。
地方公共団体が官報に準じて発行する文書。「選挙公報
3 ある官庁が他の官庁に対して発行する報告文書。

だそうで、上記スライドで言及している「公報」は1に相当し、特許庁が、特許出願を公にする目的で発行している文書のことです。

 

JPPで検索できる特許に関する公報は、大きく分かると、公開公報と特許公報があって、ざっくり言うと、出願日から1年半後に発行されるのが公開公報(公報種別がA)、特許の設定登録されてから発行されるのが特許公報(公報種別がB)です。公報に載ってる文献番号の後ろにAとかBとか付いてるので、公開公報か、特許公報かが分かります。(他にも違いがありますがここでは省略)

 ちなみに、前のスライドで少し説明しましたが、「権利調査」をしたいときは公報種別がBの特許公報を検索します。

 

特許庁のQ&Aを読むと「へー」がいっぱいありました。

 公報に関して:よくあるご質問 | 経済産業省 特許庁

 

 

・特許・実用新案番号照会のやり方

出願番号、公開番号などが分かっている場合は、番号照会を使います。

 

JPPの入力例を引用。

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文献番号の入力は、「半角」。

ゼロは省略可。ハイフンも省略可。

 

ここで、ちょっと気が付いたことが。

出願番号や公開番号って最近は西暦が使われているので、上の例だと、

「特開2015-00012X」

が普通なんですよね。元号で「特開平27-00012X」はあり得ない。(2000年より前の公報は元号使われてます。)

が、JPPの番号入力では、「H27-00012X」で入力してもエラーになることなく、ちゃんと「2015-00012X」を入力したのと同様に「特開2015-00012X」が表示されます。

へー。

 

出願日は元号メイン(西暦併記)でJPPで表示されたりするので、元号の方が良い、と言う方もいるのでしょうか。来年また元号変わるけど、JPOでは、もう元号使うのやめて欲しい・・・。元号から西暦に変換計算するのが面倒ですw

 

意外なトリビアを発見してしまいました。

 

ちなみに、外国公報DBで検索するときのルールはまた少し違って、国によって番号付与のルールが違うからか、ゼロは省略不可とか、あったりします。

 

次回は、「特許・実用新案検索」。

 

 

職務発明規程を作った時に参考にした本

 ちょっとJ-PlatPatのテキストに疲れた(まだ1ページなのに・・・)ので、違う話。

 

先日職務発明規程の相談を受けました。H27法改正に対応した規程に作り直して欲しいです、との依頼でした。

 

H27年改正の大きなポイントは、特許を受ける権利の「取得」とインセンティブが「経済上の利益」になったことですね。

 

1)権利の帰属について(原始的帰属)

 使用者は、契約や就業規則等にあらかじめ定めることによって、職務発明についての特許を受ける権利を、職務発明が完成した時点で取得できる(35条3項)

2)従業者のインセンティブについて

 職務発明についての特許を受ける権利を使用者に取得させた場合、従業者は、金銭に限らず、経済上の利益を受けることができる(35条4項)

 

 

以下の2冊を参考にしましたが、実務解説の方は、詳しく解説されてて経緯などがよくわかりました。レイアウトも結構好み。読みやすいのは重要なので。

 

実務解説 職務発明――平成27年特許法改正対応

実務解説 職務発明――平成27年特許法改正対応

 

 

実務シリーズの方は、雛形が載っているので、これはすごく参考になりました。いくつかパターンに分けて載っているので、各会社の事情に合わせてアレンジすれば良いかと思います。

 

 

基本的に法改正のポイントの点を盛り込み、あとは、実際の運用上問題になりそうな点(発明者が死亡した場合や、転職した場合、いつのタイミングで入金口座を確認しておくのか、連絡が取れなくなった時はどうするのか、とかの場合)も見直しました。転職とか最近は結構多いですしね。

お客様からお直しをお願いされた職務発明規程を見るだけでも、会社の雰囲気とか考え方が分かって面白いです。

 

知財って結構後回しにされることも多いから、法改正からしばらく経ってても、そのままなんだなぁと実感しました。でも、ちゃんとやろう!って意識を持たれて依頼に来られるお客様もいらっしゃるので、なんでもわからない事があったら是非是非ご相談して頂きたいです。