知財のレシピ

弁理士業務に関わるハック、トピックスなど。調査等のご相談、お請けします。

J-PlatPat講習会のテキスト(特実)を読む (スライド4、5)特許・実用新案検索

JPP講習会テキストを細かく読んでます。  

http://www.inpit.go.jp/content/100863247.pdf

 

前回の「公報の探し方」の続きで、「特許・実用新案検索」。

 

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 ②出願人名等で調査

特定の企業の出願状況が調べたい場合は、「出願人名」をプルダウンで選んで、キーワードを指定して検索してください。公知日の範囲も指定できます。「出願人名」が変わってないか(会社の合併など)などは気をつけないとダメなところです。(商用データベースとかは、名寄せが簡単にできる機能があったりします。)

 

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③技術内容で調査

やっと来ました、これ。この検索方法でつまずいてる人が多いはずです。

 

・技術用語で検索(テキスト検索)

・特許分類で検索

 

この2つが書いてありますが、基本的には併用して検索します。

 

スライド5に、この2つの検索方法のメリット、デメリットが説明されています。

 

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キーワード検索は、まさにGoogleで検索するみたいな感じなので、お手軽なところがメリットです。

デメリットは、例えば、「ペン」についての技術を調べたい場合に、検索項目を「全文」指定して「ペン」を入れてしまうと、「ペンダント」、「ペンチ」など、「ペン」を含む単語を全てを検索結果に入れてしまいます。ここで、検索したいワード以外のものが混ざってしまうことを「ノイズが発生」と言ってます。この「ノイズ」をいかに少なくするか、ノイズを省いて文献を抽出するか、が調査能力にかかってきます。

 

類義語等についても注意が必要で、明細書は、基本的に、弁理士各自のオリジナル。同じ対象物でもいろんな言い方、書かれ方がされています。自分が普段使っている言葉とは違う言葉が使われていたりするので、単に一つの言葉だけで検索して、文献が無かった、と安心するのはまずいです。逆に不安になるぐらいがいいかと。

あと、テキスト検索は、昔の公報は検索できません。スライドには、1971年以降の公開特許公報から、となっていますが、ITとか特定の技術分野は、それで十分じゃないかと思います。

 

ちなみに、現時点(11/29/2018)の表示可能な文献はこうなっています。

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公告特許公報(B) 「T11-1」も表示されるんですねー。ゼロ入力は省略可と、前回知ったので、慣れるために、お試しでいろいろやってみてもいいかも、です。

 

キーワード検索は、キーワードの選び方や、近傍検索など、コツを掴めば、ある程度はすぐに効果が上がるテクニックがあるので、そんなに身構えなくてもいいかと思います。

 

次回は、「特許分類での検索」。

 

 

J-PlatPat講習会のテキスト(特実)を読む (スライド4)番号照会のトリビア

JPPテキストの続きです。スライド4は「公報の探し方」です。

 

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・そもそも「公報」って何?

デジタル大辞泉によると、「公報」とは、

 
1 官庁が一般国民に発表する公式の報告。
地方公共団体が官報に準じて発行する文書。「選挙公報
3 ある官庁が他の官庁に対して発行する報告文書。

だそうで、上記スライドで言及している「公報」は1に相当し、特許庁が、特許出願を公にする目的で発行している文書のことです。

 

JPPで検索できる特許に関する公報は、大きく分かると、公開公報と特許公報があって、ざっくり言うと、出願日から1年半後に発行されるのが公開公報(公報種別がA)、特許の設定登録されてから発行されるのが特許公報(公報種別がB)です。公報に載ってる文献番号の後ろにAとかBとか付いてるので、公開公報か、特許公報かが分かります。(他にも違いがありますがここでは省略)

 ちなみに、前のスライドで少し説明しましたが、「権利調査」をしたいときは公報種別がBの特許公報を検索します。

 

特許庁のQ&Aを読むと「へー」がいっぱいありました。

 公報に関して:よくあるご質問 | 経済産業省 特許庁

 

 

・特許・実用新案番号照会のやり方

出願番号、公開番号などが分かっている場合は、番号照会を使います。

 

JPPの入力例を引用。

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文献番号の入力は、「半角」。

ゼロは省略可。ハイフンも省略可。

 

ここで、ちょっと気が付いたことが。

出願番号や公開番号って最近は西暦が使われているので、上の例だと、

「特開2015-00012X」

が普通なんですよね。元号で「特開平27-00012X」はあり得ない。(2000年より前の公報は元号使われてます。)

が、JPPの番号入力では、「H27-00012X」で入力してもエラーになることなく、ちゃんと「2015-00012X」を入力したのと同様に「特開2015-00012X」が表示されます。

へー。

 

出願日は元号メイン(西暦併記)でJPPで表示されたりするので、元号の方が良い、と言う方もいるのでしょうか。来年また元号変わるけど、JPOでは、もう元号使うのやめて欲しい・・・。元号から西暦に変換計算するのが面倒ですw

 

意外なトリビアを発見してしまいました。

 

ちなみに、外国公報DBで検索するときのルールはまた少し違って、国によって番号付与のルールが違うからか、ゼロは省略不可とか、あったりします。

 

次回は、「特許・実用新案検索」。

 

 

職務発明規程を作った時に参考にした本

 ちょっとJ-PlatPatのテキストに疲れた(まだ1ページなのに・・・)ので、違う話。

 

先日職務発明規程の相談を受けました。H27法改正に対応した規程に作り直して欲しいです、との依頼でした。

 

H27年改正の大きなポイントは、特許を受ける権利の「取得」とインセンティブが「経済上の利益」になったことですね。

 

1)権利の帰属について(原始的帰属)

 使用者は、契約や就業規則等にあらかじめ定めることによって、職務発明についての特許を受ける権利を、職務発明が完成した時点で取得できる(35条3項)

2)従業者のインセンティブについて

 職務発明についての特許を受ける権利を使用者に取得させた場合、従業者は、金銭に限らず、経済上の利益を受けることができる(35条4項)

 

 

以下の2冊を参考にしましたが、実務解説の方は、詳しく解説されてて経緯などがよくわかりました。レイアウトも結構好み。読みやすいのは重要なので。

 

実務解説 職務発明――平成27年特許法改正対応

実務解説 職務発明――平成27年特許法改正対応

 

 

実務シリーズの方は、雛形が載っているので、これはすごく参考になりました。いくつかパターンに分けて載っているので、各会社の事情に合わせてアレンジすれば良いかと思います。

 

 

基本的に法改正のポイントの点を盛り込み、あとは、実際の運用上問題になりそうな点(発明者が死亡した場合や、転職した場合、いつのタイミングで入金口座を確認しておくのか、連絡が取れなくなった時はどうするのか、とかの場合)も見直しました。転職とか最近は結構多いですしね。

お客様からお直しをお願いされた職務発明規程を見るだけでも、会社の雰囲気とか考え方が分かって面白いです。

 

知財って結構後回しにされることも多いから、法改正からしばらく経ってても、そのままなんだなぁと実感しました。でも、ちゃんとやろう!って意識を持たれて依頼に来られるお客様もいらっしゃるので、なんでもわからない事があったら是非是非ご相談して頂きたいです。

 

 

J-PlatPat講習会のテキスト(特実)を読む 「技術動向調査」の深掘り

最新の技術情報、他社の動向を調べるという事で、特定の分野の出願状況を調べたりします。これは、J-PlatPatを使うよりも、商用データベースを使う方が、バブルチャートで表示してくれたりとか、簡単にそれらしい結果を表示してくれるので、調査した感がしますね。

 

あと、出願人の名寄せは、企業の名称変更、合併、吸収などに対応するための作業なんですが、これ、結構面倒。これも商用データベースの方が簡単に出来るものが多いと思います。

 

技術動向調査は、特定の文献を探し出すというよりは、分野の傾向を知る、というものなので、特許分類に関する知識が結構重要で、FIやFターム、IPCが必要となってきます。ここで多分ハードルが高くなるかと。

FIやFタームって、審査官やIPCCの方が1件1件手作業で付与しているので、それなりに精度が保証されています。(ちなみに、出願時に願書に記載させる国際特許分類は、分類付与に殆ど使われません)なので、サーチの際は、特許分類をフル活用した方が結果的に効率よく文献が探せたりします。

 

技術動向調査をお願いされた事例としては、

1.自社で知財を強化したいんだけど、社員に自社が他社と比べてどんだけ知財力が無いか見せたいので調査してください、

2.自社で特定の強みのある技術があるんだけど、その技術をどの分野に応用していけばさらに強みが出せるのか調査してください、

ということがありました。

 

1は、競合他社の名前をいくつか挙げてもらって、特許分類使ってその分野の出願状況の時系列を使えば大体わかるので、調査のやり方をお教えしました。お客様には、社内プレゼンなどで自由に使えるようになったと喜ばれ、プレゼン資料も素晴らしいものが完成し、もちろんプレゼンも成功。社内の知財活用の取り組みも社員全体で前向きに進んでます、と聞き嬉しく思いました。

2は、技術的には新しい分野だったので、まだ国内の出願もあまり多くなく、取り組むべき応用分野が見つかったので、そこに向けて開発したいです、開発が進んだら出願できそうか相談したいです、と言っていただけて、これも嬉しく思いました。

 

たかが調査、と思われる人もいるかもしれませんが、これも明細書を書くのと同様専門的知識が必要ですので、ぜひ体系的に学ぶ機会があったら学んでみたり、割り切ってプロにお願いするのが良いと思います。

 

J-PlatPat講習会のテキスト(特実)を読む 「権利調査」の深掘り

実際に調査した「権利調査」について、事例紹介(3パターン)します。

 

1.海外のクライアントが、権利行使前に、特許の有効性を確認したいと依頼してきた事例

 

 侵害訴訟等が活発なUSでは、よくあるパターンなのかなと思いますが、特許権侵害してるぞ!と訴えても、相手方からそもそもあなたの特許は無効でしょ、と反撃されてしまうのに備え、無効資料がないかを調査して下さい、という依頼。相手方を無効にしたいのではなく、自分の特許が無効じゃないか万全を期すものです。USは訴訟額も半端無いから準備にも相当お金かけるんですよね。ある意味「無効調査」ではあります。

 ちなみに、日本の特許文献(電気・情報系の話、他分野の事情はよく知らない。)は、2000年代ぐらいまでは積極的に出願され、技術レベル、内容も良いので、英語圏の特許の無効資料になり得る可能性が高いようです。2000年代だと、まだ機械翻訳の精度も全然よく無いし、審査において、世界公知を建前にしてても、やっぱり全世界の文献はそんなに調査できなかったでしょうね。USやEPの審査官にとっては、日本語文献の調査はハードル高かったと思います。なので、結構日本語文献の調査のニーズがあったりします。

 

2.自社サービスの開発の方向性を見定めたいと依頼してきた事例

 あるアプリサービスについてリリースしているが、他者の特許権を踏まないように、次なるサービスを考えたいんだけど、どんなのが特許になっているか調査してほしいという依頼。調査した結果、そのサービスに関連したいろんな特許が発見され、開発の方向性についてヒントになったようでお客様に喜ばれました。実際、他者が取得している、サービスとして提供されていない特許について(実施してなくても特許は取れるので。)、調査をせずに開発・実施してしまい、後で権利侵害してたことが分かって青ざめるってことは、十分あり得るんだな、と実感した事例でした。これはどちらかというと「技術動向調査」に近いとこもありますね。

 

3.開発しようとしている技術について実施できるか確認したいと依頼してきた事例

  企画段階の発明について、実施できそうか調査してほしいという依頼でした。特許されてなくて、新規性もありそうって話なら出願しましょうという話だったのですが、調査の結果、特許が発見されてしまい、その企画は違う方向へ変更せざるを得なくなってしまいました。調査して特許が発見されたから良かったですが、これも調査せずに開発に着手してたら、、、とゾッとする事例でした。こうやって調査して特許が見つかっても、開発スケジュールにそんなに影響を与えることなく設計変更できたり、そもそもその仕様は実施しなくてもOKとかいうこともあったり、なので、ちゃんと判断できる人に調査してもらうのが手っ取り早いと思います。

 ゲームアプリの会社は、ガチャ関係の特許には特に敏感なのではないでしょうか。もう、ゲーム関係の特許はなんだかすごい事になってて、ゲームって究極的には単なる人為的な取り決めじゃないのか、と思うのですが、普通に特許になってますよね、大量に。ゲーム関係は、最近は訴訟も結構あるので、特許調査を甘く見てると大変な事になりそうです。

 

 

 

 

 

J-PlatPat講習会のテキスト(特実)を読む 「先行技術文献調査」の深掘り

出願の相談に来たお客さんの発明内容を聞いて、調査定義を設定し、先行技術調査に取りかかります。

先行技術調査を行う際の手順は、

 

1.発明の理解

2.特許分類の決定

3.検索キーワードの決定

4.検索式の作成

5.公報スクリーニング

6.公報ピックアップ

 

というのは、どこで聞いても同じ説明かと思うのですが、どのステップも独学はやっぱり難しいと思います。何件も繰り返して、適切な指導をしてくれる人にコメントをもらって、ということができる環境がベスト。これをみんなどうしてるのかなーといつも疑問。

特許調査の一番の難しさは、どこまでやればいいかの見極めだと思うのですが、その勘所はホントに難しい。特許調査には完璧というものは存在しない、ということを念頭に、費用対効果でやるしかないです。審査官も1件に掛けられる時間は決して長くないですし、そこは割り切りが必要。

 

先行技術調査をした結果、近い文献が見つかったとき、完全一致な内容でない限り、それが引用文献になることを想定して明細書を作成すると、後々の中間対応がラクです。引用文献に、自分が出願前に調査して発見していた文献が含まれていたりすると、ニヤリとしてしまいますねw こういうのを想定して明細書を書いておくと、特許にする落とし所を自分でコントロールできるし、仕事の流れとしていい感じです。

 

先行技術文献調査で近い文献を発見→明細書では、一般的な先行技術を引用して課題のストーリーを構築するけど、発見した文献を引用文献と想定して、その相違点が明確になるように明細書を書く→拒絶理由でその文献が引用されてると、中間がラク

 

これまでの感覚として、自分が担当した出願で引用される特許文献のうち、半分ぐらいは先行技術文献調査で見つけてる文献な感じがする。いい流れができてると感じます。

(拒絶理由の構成の仕方は人それぞれで、それにより引例は変わるから、完全に予測するのは無理です)

 

私は、この流れで明細書かけるのも、調査ができてこそ、と思っています。この流れが感じられるようになって仕事の段取りがちょっとラクになりました。ぜひ、弁理士の方にJーPlatpatが使いこなせるようになってほしいです。

 

 

J-PlatPat講習会のテキスト(特実)を読む (スライド3)

 以前投稿した記事で、J-PlatPat講習会のテキストが結構いいこと書いてるから見ていきたいと言っておきながら、結構時間がたってました・・・。ちゃんと見ていきたいと思います!

uibenrishi.hatenablog.jp

 

テキストの目次はこんな感じです。(カッコ内は対応スライド頁)

 

  1. J-PlatPatを利用した特許調査の基本 (p.3-6)
  2. キーワード検索による調査 (p.7-14)
  3. 特許分類での検索による調査 (p.15-27)
  4. その他のサービス (p.28-33)

 

1. J-PlatPatを利用した特許調査の基本(p.3)、でそもそも「特許調査」ってどういう時にやる調査なの?という話の説明があります。ここでは、「先行技術調査」、「権利調査」、「技術動向調査」が挙げられています。

 

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講習会テキストより、スライド3

「先行技術調査」は、出願前に、出願しようとする発明と同じことをやってる人がいないかを調べます。事務所によっては、弁理士は調査を全くやらないのですが、さすがにこれぐらいはちょっとはやるよね、という気がします。

 

特許文献のサーチって、明細書の表現に迷ったりとかした時にすごく有効で、表現の参考になる文献が見つかるとかなり嬉しいです。 そういう意味でも、弁理士は最低限J-platpatの使い方を知っておくべきと思います。

でも、調査は弁理士試験の試験科目でもないし、調査しなくても、明細書を書き上げることはできるから、弁理士の中には調査は苦手意識ある人結構いるかと。中には、J-platpatを使うとき、特許分類や近傍検索をろくに使わずに、キーワードを入れてとにかくしらみつぶしに文献を見る、とかいうことを結構平気でやってたりする人もいたり。せっかくJ-platpatの機能が強化されたのに、これは残念です。

 

「権利調査」は、侵害予防調査、クリアランス調査などと言ったりしますが、実施しようとする事業(サービスやゲームの仕様とか)が、すでに特許になってないかを調べます。この調査の場合、基本的には、特許公報を対象にサーチするのですが、特許請求の範囲を読み込まないといけないので、結構大変です。実施予定の仕様がすでに特許になってたりすると、仕様変更や開発スケジュールの変更を余儀なくされるので、調査やその判断も重要。 こういう調査も比較的やります。

 

「技術動向調査」は、業界のトレンドとか知りたい場合に調査します。実は、毎年特許庁で、テーマを決めて報告書が出されており、知りたい技術分野の報告書があったら超重宝します。Webで公開されているのは概要なので、本編が見たければ、特許庁内の図書室などに行く必要があります。本編には、概要に載っていない詳しい検索式などが記載されています。

特許出願技術動向調査等報告 | 経済産業省 特許庁

 

 

スライド1枚でしたが、結構ボリュームある話でした。ホントに、実際の業務そのままで、端的にまとめられてます。